『ムーンライト』
観た。2016年。
アメリカ黒人の話。ドラッグディーラー、シングルマザー、とキーワードだけ並べると典型的なUSヒップホップのMVの世界なのだけども、そこに主人公が男性の同性愛であるというファクターが導入され様相が変わってくる。
しかし、社会問題を提起するような熱さは無くむしろ静謐な映像と音楽で穏やかに描写されていく。
恋愛もさり気なく月明かりの下のような静けさが印象的だ。
ラストシーン、不本意な分かれ方をしたが再会した友達に向かって
「あれからお前以外の誰にも触れられたことはない」
と言うのですがこのセリフは彼への一途な想いのロマンチックな告白だ、とおもっていたのですが何日か経ってふと、
……これまで男性同士の恋愛が認められない場で生きてきたという意味も込められていることに気がついた。(マッチョな黒人社会では同性愛者であることは弱さを意味するから)